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Blindfold
第30章 ハッピーバースデー



「……ちょっと落ち着け」


「っ…………」


「色々、やってくれてたんだな」



店長の問いに私は、ゆっくりと頷く。



「………ありがとな」


「…………っ……」



突然、優しく微笑まれて思わずうるっと来てしまった。


ちゃんと喜んでくれることに安心して、少し気が抜けていると、店長は私の手を離して、そのままカレーをペロリと平らげた。




「おかわり、あるか?」


「あ、ありますっ…たくさん作ってあるので…」


「じゃあよろしく。あと、お前も食べろよ」



コクリと頷くと、店長はフッと笑った。


少しだけ滲んだ涙を拭って、私はまたカレーをよそう。


正直、色々な準備に精一杯でご飯を食べられていなかったのでお腹がぺこぺこだった。


同じくテーブルに腰掛け、手を合わせると私は自分のカレーを頬張った。




「……うまいだろう」



まるで自分が作ったみたいに得意げにそんなことを聞いてくる店長に、「うん」と言葉を返す。


失敗するようなメニューじゃないけど、肉も野菜も固すぎずうまく出来ていて、本当によかった。


ホッとしながらカレーを食べ終わったところで店長のお皿と自分のお皿を流しに下げて、テーブルに戻ると店長が自らケーキにロウソクを差し、持っていたライターで火をつけた。



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