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Blindfold
第30章 ハッピーバースデー



葵と昼に買った服をじっと見つめる。


こんなに恥ずかしいことがあるだろうか……。


はぁとため息をつきながら、その服を着て鏡を見た。


葵は似合ってるって大興奮だったけど、自分で見るとイタい気しかしない。


まぁこの格好で外を歩くわけじゃないし、店長が喜ぶのなら……と思い、私はプレゼントを持って、店長が待つ部屋へと向かった。


もう、正直どうにでもなれっていう気持ちだ。


椅子に座ってスマホを眺めている店長をチラと見ながら、「あの…っ…」と声を掛けた。




「ん……?」



顔を上げた店長は、私の姿を見ると大きく目を見開いた。



「これ……っ……プレゼントで、すっ…」



グッとプレゼントを差し出すが、店長はそれには目をくれず、私の姿を見たまま何度も瞬きをしている。



「…………良かったら…使って、ください…」




目を擦った店長は、また改めて私をまじまじと眺めている。




「いや……えっ………と…?」



ようやく言葉を発した店長に、私は顔を赤らめながらギュッと目を瞑った。




「こういうのが……好きなんですよね」


「は…………?」


「私が着てるんじゃダメ、ですか」



ふすまの奥にしまわれたAVは、ほとんどが所謂『メイドコスプレ』もので……


そういうのが趣味なんだと思って、葵と選んで買ってきたメイド服を着ているわけだけど。


やっぱAVとリアルは別?


私がメイド服着たところで別に何も嬉しくも何ともない…だろうか…


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