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Blindfold
第30章 ハッピーバースデー
「…………そういう趣味だって、俺…言ったか?」
「えっ………だって、あの奥に、メイドコスプレのAVがたくさん隠してあったから…」
「あの奥って……」
そう呟いた店長は、閃いたようにハッとして片手で顔を覆った。
「あれは……俺んじゃねぇ」
「え………?」
嫌な予感が全身を駆け巡って、胸の奥底から羞恥心が湧き上がる。
「頼まれて預かってたんだよ、兄貴から」
「あ、兄貴って…」
つまりは拓也さんのものってことなんだろうけど……
「よく見てなかったけどこういうのが趣味なのかあいつ……」
オェと吐きマネをする様に舌を出す店長を見ながら、顔が暑くなるのを感じる。
最悪だ。
店長のために、と思ってこんな柄にもないことしたのに、勘違いだったってことは、今私はただのイタイ女でしかない。
居た堪れなくなった私はすぐに店長に背を向けて逃げるようにまたお風呂場へと向かう。
「っ……忘れてくださいっ…」
空回りしてばかり。
とにかく恥ずかしくて消えたいと思っていると、店長はそれを許さないとばかりに私の手首を掴んで阻んできた。
「ちょっと…」
「……………」
黙ったまま、私の体をじっと見つめてくる店長から私は視線を逸らす。
「そんなに…っ…見ないでください…!」
「なんでだよ俺の趣味だと思ったから、着てんだろ?」
挑発的な言葉に私はギュッと目を瞑った。