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Blindfold
第30章 ハッピーバースデー
袋の中の箱を掴んだ店長は、リボンをほどきながら私の言葉を聞いている。
「だから……そうじゃないお金で、プレゼント買いたいと思って。それで幸さんにお願いして、働かせてもらってました」
「────────…」
箱を開いた店長は、中に入っている革の財布を掴んでそれをじっと見ている。
「あの……気にいるか分からないけど…」
ベッドから身を起こした私を店長は黙ったまま見つめた。
そして、ポンと私の頭に乗せると、ニッと笑ったのでその笑顔にトクンと胸が鳴った。
「………ありがとな」
「………っ…いえ」
喜んでくれていることが嬉しくて私も口元が緩む。
そして、店長はヨシヨシと私の頭を撫でたあと、「でも…」と言葉を続けた。
「どこで稼ごうが、お前が稼いだことに変わりねぇんだから」
「……………」
「そういうこと、あんまり気にするな」
店長の言うことはもっともかもしれない。
分かってはいるけど何となくそう思えなくてそうしちゃった訳だけど……
黙ってコクリと頷くと、店長は何か言いづらそうに自身の頭をポリポリと掻いた。
「……あと…もう、あそこで働くなよ」
「はい。もう、目的はないですし、そのつもりです」
「キャバ嬢は、お前に……似合わねぇよ」
ふん…と息を吐いた店長を私はじっと見つめる。
「……そんなことなかったですよ。幸さん、素質あるって言ってくれたし」
言い返したい気持ちになってそんなことを言うと、店長は目を細めて私のことを見つめた。