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Blindfold
第31章 結果オーライ
階段を登りながら、ポケットの鍵を出す。
「桜ちゃん、そういえば誕生日はうまくいった?」
「え、あ、はい…」
また、昨夜の色々を思い出して勝手に顔が赤くなるのを必死で隠す。
「そっかぁ〜。よかった!」
「お蔭様で…。お店では本当色々お世話になりました」
「いやいや、そんな。てかいつも弟お世話になってるし、ね」
「……お世話になってるのは、私の方ですよ」
「いやーでも達也、桜ちゃんと付き合ってからすんごい幸せそうだし。やっぱ兄貴としては感謝だよ〜」
拓也さんの優しい口調を聞きながら、兄弟でなんでこんなに話し方が違うのかなぁとぼんやりと思う。
そりゃ、店長だって優しいけど、拓也さんみたいな物腰柔らかな印象は一切ない。
そうこう考えているうちに扉の前のついたので私は鍵を開けた。
「あの……私取ってきますからここで待っててください」
「えっ……いや、でも」
「大丈夫です。中身は見ずに、すぐに持ってきますので」
敢えて中身は見ないとか言ってわざとらしかったかな…と思ったけど、拓也さんは全然そんな事に気付かない様子でホッとした顔をしている。
前々から思っていたけど、拓也さんは鈍感…と言われるタイプの人間なのかもしれない。