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Blindfold
第5章 ナンパの男
なんて打てばいいのだろう。
考えあぐねた結果、私は
『今夜は勤務じゃないです』
と送った。
向こうは私の名前すら知らないのに、一通目にこんな文を送ったのは、どう考えたっておかしい。
バカバカしくなって、私はスマホをそのまま洗面台の脇に置くと、服を脱ぎ捨てて、浴室に入った。
シャワーを出しながら、曇っていく鏡を見つめる。
視線を落として、なんとなく、手首を見つめた。
透けた血管。
生きてる。
当たり前の確認。
そして、すっかり全面が曇ってしまった鏡に、私はシャワーを当てた。