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Blindfold
第5章 ナンパの男
───────────────…
他の街がそろそろ眠りだそうとするころ、起きる街がある。
特有の雰囲気と香り
ネオンが輝くその場所を通り抜けて
奥へ奥へと入っていく。
確かここには幸さんがオーナーを務めるradiceがあったはず…
「痛っ……」
フラフラと歩いてきた子が、私にぶつかってよろけた。
「すっ……すみませんっ……」
透けてしまいそうなほど白い肌。
振り返った拍子に長い髪が揺れる。
その髪と同様に黒々とした瞳が私を捉える。
肩には絆創膏…?のようなものが貼られていた。
泣いたのだろうのか、少しだけ目の周りが赤い。
美人だ……
思わず見とれてしまって声が出なくなった。
この夜の街で働いているのだろうか。
落ちかけた化粧。
化粧なんてそんなもの、彼女には必要ないのに。