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Blindfold
第5章 ナンパの男
「本当にごめんなさい…っ」
そう言って去っていた彼女の後ろ姿を見つめる。
幸せじゃないのだろう。
あんなに美人なのに…
ネオンの輝きが虚しく感じた。
再び前を向き直して、
さらに奥へと進む。
そして、待ち合わせ場所の前で、スマホをいじる男性を見つけて、ふぅと息を吐いた。
こうやってみると、様になっているというか。
この夜の街の雰囲気にぴったりな人物だ、と思った。
そして、私を見つけた彼は、ああ…と言いながら片手を上げる。
「桜ちゃん」
「……どうも」
「いきなり桜ちゃんは、馴れ馴れしい?」
「……いや…」
「まぁ、いきなりホテルの前で待ち合わせて、これからセックスしようとしてんだから、そんなことどうでもいいか」
そう言って、彼はハハハと明るく笑った。
分かっていたけれど、この人は変わっている。
「よく彼氏をかいくぐって来れたね?」
「彼氏?」
思ってもみなかった言葉に思わず聞き返した。
「うん。
ほら、あの年上の〜…ちょい悪みたいな感じのイケメン」
「………」
「店にいた」
ああ
「店長?」