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Blindfold
第5章 ナンパの男
あいつ店長なんだ〜と彼は呑気に言った。
「店長は、彼氏でも何でもないですよ」
─────────訳も分からない男にホイホイついていくの、やめろよ
彼氏だなんて…
「あ?そうなの?独占欲むき出しにしてたから彼氏なんだと思ってたわ」
「まさか」
店長は…
「お節介な…だけです。あと、あの日は混んでたから」
人が足りてなかったし、と言い掛けたところで、彼がまぁいいや、と呟いたので黙った。
「入ろっか」
そういって、ホテルの方へ親指を突き出す。
ガラにもなく、ドキドキしている自分がいる。
何かを期待しているんだろうか…
馴れた様子でホテルの部屋を決めた北野悠は、まるで居酒屋に行くみたいな足取りだ。
「ここだってさ」
「どーも…」
扉を支えられて、先に部屋に入った。
いかにもラブホ。
変にムードを出そうとしているランプ。
何とも言えない香り。
それが少し苦手で、でも、身体が先を予想したのか、少し火照る。
「結構広いね」
「そう…ですね」
「別に敬語じゃなくていいよ」
そういいながら彼はジャケットを脱いだ。
そう言われても困るな…
あまりに彼の事を知らなすぎて、距離感を掴めない。