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Blindfold
第5章 ナンパの男
胸が鳴り止まない。
コクンと頷いて、ゆっくりとベッドに向かう。
悠とは少し離れたところに腰掛けた。
私は『桜』で
彼は『悠』
それは仮の姿でも何でもなくて
ありのままの姿。
そういう関係が久々すぎて、どうしたら良いのか分からない。
「警戒してる?」
「……ここまで来てるのに、警戒してるとか有り得ないでしょ…」
私の方に近付いてきた悠は、初めて会ったときと同じように妖しく笑った。
「桜ちゃんって──」
「なんか、気持ち悪いから桜でいいよ」
「自分の名前は呼ばせるんだ?俺の名前は呼ばないのに」
髪の毛を触られて、至近距離で見つめられた。
ただでさえうるさい心臓が、またトクンと跳ねた。