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第5章 ナンパの男

「偉そうにいうことじゃないけど色んな女と関係結んできたから分かるよ。桜みたいな子は、ダメなんだ」




「なにそれ」




誘ってきたくせに。



抱きたいと言いながら、ダメだという彼に無性に腹が立ってきた。





「身体だけの関係だよ」




「分かってる」





そんなの、私だって初めてじゃない。



それどころか、そんな関係ばかり私は結んできた。






「だからダメなんだよ」




「っ……なんなの！さっきから黙って聞いてれば──」




「桜は割り切れるような子じゃないよ」




「─────…」





割り切れるような…子じゃない……




強めに言われたその言葉が消化できずに、ぐるぐると頭の中を駆け巡っている。





「一見割り切れているように見えるし、俺も桜はそういうタイプだと思ったから、あの日誘ったけど」




少し哀れむような、そんな目を向けられて、また少し息が苦しくなってきた。






「桜はそういうフリをしているんだよ。俺は桜の期待に応えられない。何度もいうけど、俺はセックスがしたいだけ」




別に胸を張って言うことじゃないけどね…




そう加えて彼は自嘲気味に笑う。