この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Blindfold
第6章 迷子
─────────…
さっきまであんなに晴れていたのに、突然の土砂降りで、人々は屋根を探して走り回っている。
そんな中、ずぶ濡れになりながら私はまたそこへ来てしまっていた。
誰でも良かった。
もう壊れてしまったのだから。
当たり前のcloseの看板。
しかし、花壇の前に大きな傘が見えた。
「店長……」
花壇の様子を見ながら、土をいじる店長。
そして、顔を上げると、私であることに気付いて大きく目を見開いた。
「桜…お前っ……!」
泣いてる顔を見られたくなくて、俯く。
雨がしきりに地面を叩きつけていた。
「来んの早すぎだし…!てかずぶ濡れじゃねーかよ」
そして、私に乱暴に傘を渡した。
「……風邪引くだろ、中入れ」
そう言いながら、店の扉を開ける。
柄にもなく慌てているのが分かった。