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Blindfold
第6章 迷子
昼間の店内は、何だかいつもと違った。
扉を閉めると、雨の音が遠退く。
「ちょっと待ってろよ」
そう言って、店の奥に行こうとする店長の服の裾を掴んだ。
「桜…?」
ぽたぽたと
髪から滴った水滴が、店の床に落ちていく。
「タオル……持ってきてやるから」
水滴は止めどない。
あぁ、これ、
水滴じゃない…
「おい、桜?」
困った様子の店長を私は顔を上げて見つめた。
「私……」
言葉が出かけて
そして消えていく。
パクパクと無様に口を動かして、そして苦しくなって。
困っている店長の顔がぼやける。
なんでここに来たんだろう。
違う
もう私には行ける場所がなかったから…
「いいから。話さなくていい。とりあえず落ち着け」
「店長……私、お姉ちゃんに…っ…大好きなお姉ちゃんにっ……死んでって…───」
「いいから!」