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Blindfold
第6章 迷子


ジッとライターの音が響いて、思わず隣を見た。



ふーっと煙を吐き出して、タバコを咥えると、店長はダボついた私のシャツの袖を捲り出した。



「……大丈夫ですって…」



「いいから」



増えていく灰を眺める。



赤い炎。そこから店長の息遣いを知る。




「やっと来たな…」


「…………行くところなくて」


「そうか」


「すみません……」


「いや、なんかあったら来いって言ったの俺だから」



よっ、と言いながら店長はカウンターの向こうにある紅茶のポットを掴んだ。



「そんで?」



それで……


どこから話せばいいだろう。


こんなに穢れた話をして



なんと思われるのか



今更ながら恐れてる自分がいる。



「………大丈夫だって」




店長はそう言って灰皿に灰を落とした。







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