この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Blindfold
第6章 迷子
ジッとライターの音が響いて、思わず隣を見た。
ふーっと煙を吐き出して、タバコを咥えると、店長はダボついた私のシャツの袖を捲り出した。
「……大丈夫ですって…」
「いいから」
増えていく灰を眺める。
赤い炎。そこから店長の息遣いを知る。
「やっと来たな…」
「…………行くところなくて」
「そうか」
「すみません……」
「いや、なんかあったら来いって言ったの俺だから」
よっ、と言いながら店長はカウンターの向こうにある紅茶のポットを掴んだ。
「そんで?」
それで……
どこから話せばいいだろう。
こんなに穢れた話をして
なんと思われるのか
今更ながら恐れてる自分がいる。
「………大丈夫だって」
店長はそう言って灰皿に灰を落とした。