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約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第2章 【邂逅~めぐり逢い~】
小柄な老人は眉も顎の下にたくわえた口髭もたっぷりとしていて、まるで山奥に棲む隠者のようだった。
―さよう、あまり大きな声では言えないが、この簪は何でもはるか昔、さる高貴なるお方の御髪(おぐし)を飾っていたといいますよ。
店主の老人によると、この簪は朝鮮王朝時代、何代めかの王の寵姫が愛用した品だとか。
むろん、現実志向の父は、そんな荒唐無稽な話を本気にはしなかった。が、たとえ口から出まかせにしても、興味はそそられた。
―さよう、あまり大きな声では言えないが、この簪は何でもはるか昔、さる高貴なるお方の御髪(おぐし)を飾っていたといいますよ。
店主の老人によると、この簪は朝鮮王朝時代、何代めかの王の寵姫が愛用した品だとか。
むろん、現実志向の父は、そんな荒唐無稽な話を本気にはしなかった。が、たとえ口から出まかせにしても、興味はそそられた。