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約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第3章 【一人だけの結婚式】
事もなげに言う王を、尚宮が大慌てで止めた。
「なりません、殿下。後宮の女官は皆、おしなべて殿下のものであるという大前提に嘉礼は行われます。あまたの女官は皆、誰もが殿下のご寵愛を頂くことを夢見ておるのでございます。女官の嘉礼は新婦一人で行うのが通例、それを臨女官にのみ殿下がご臨席あそばされては、他の者たちに示しがつきませぬ」
尚宮の諫めはもっともであった。私情に溺れて、公私混同するほど愚かな王ではない。
「なりません、殿下。後宮の女官は皆、おしなべて殿下のものであるという大前提に嘉礼は行われます。あまたの女官は皆、誰もが殿下のご寵愛を頂くことを夢見ておるのでございます。女官の嘉礼は新婦一人で行うのが通例、それを臨女官にのみ殿下がご臨席あそばされては、他の者たちに示しがつきませぬ」
尚宮の諫めはもっともであった。私情に溺れて、公私混同するほど愚かな王ではない。