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約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第2章 【邂逅~めぐり逢い~】
以来、簪は莉彩の宝物となった。この簪がライラックを象っていると露天商が言ったわけではないけれど、父はこの花の形を見た時、確信したそうだ。莉彩の父は仕事柄、若い頃から日本各地を転勤で回ってきた。莉彩が生まれた頃は丁度、北海道支社にいた。
―お前が生まれた朝は、空が眩しいくらいに澄んで蒼く輝いていて、リラの花が満開だった。ママがいる産院の部屋から、庭のリラの花がよく見えたものさ。