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約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第4章 【接近~近づいてゆく心~】
「そなたは殿下の乳母臨尚宮の養女だというではないか。十年も前に宮廷を去った臨尚宮が今頃になって、何ゆえ、己れの息の掛かった女を殿下に近づけて参ったのか」
含みのある言葉だ。莉彩は眼を見開いた。
「そなたが入宮以来、殿下がいたくご執心されていると聞き、色々と調べさせた。殿下には現在、中殿どころか側室の一人もおらぬ淋しいご境遇。既におん年三十であられながら、世子(セジャ)もおられぬ。