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◇なななの短編◇
第7章 【近くて遠い書籍化記念】Trick or Sweet
「ごっ、ごめんっ……光瑠っ……今日は光瑠の誕生日だから、光瑠のこと喜ばせたくてっ……だから、のんちゃんが風邪引いてるっていうのは嘘で……っ。それで……」
不穏な雰囲気が流れる中、申し訳なさそうに隼人が事の次第を説明する。
「はっ……隼人は悪くなくて…! 光瑠さんのために一生懸命考えてくれてっ……望もっ……」
全く光瑠さんが動かなくて怖かったので、私は思わず望を避難させるようにして、自分の方へとかくまった。
この空気、どうしようっ……
困り果てていると、脇から望が光瑠さんの方を指差した。
「望っ……人のこと指差しちゃ━━」
「パパおばけみたい!!!!」
しんと静まり返った空気を壊すように、望がケラケラと笑い出す。
一瞬ハッとした空気がみんなの中で流れたが、真面目な顔をしていたドラキュラ扮する要さんまでクククと笑い出すと、その後みんなが連鎖したようにして大声で笑い出した。