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◇なななの短編◇
第7章 【近くて遠い書籍化記念】Trick or Sweet
「見ろ、この芸術的な造形を。望は天才だ……」
「………は……あ……」
呆れた様子に真希は、ケーキにまみれながらその紙の玉をうっとりと眺める光瑠が心配になった。
「さぁ。みなさん、ご飯が出来ていますから、食べましょう」
古畑さんの言葉でみんながワァと声を上げて席につく。
「ありがとう望……」
「おめでとう! パパ! だーいすきっ!」
ニコッと笑顔を振り撒いた天使は、ご飯に目がけて走り出す。
「ほら、望ちゃん、また転ぶよ?」
「へーき!」
相変わらず和気あいあいとしているその光景を見て真希は、うっとりと息を漏らした。
「よかったですね、望に『大好き』だなんて言ってもらって」
「あぁ……」
いつもなら照れくさそうにどうってことのない反応をする光瑠は、そう素直に返事をして、真希のことを見つめた。
「お前からは……?」
「え……?」
ニヤリとした光瑠は、先ほど真希に羽織らせた自分のジャケットのボタンを外した。
「ちょっ……」
「お前自身がプレゼントという意味か……?」
「なっ、何言ってるんですかっ……」
「あとで望を寝かし付けて二人きりになったらもらってやる」
そういいながら、光瑠はその挑発的な衣装を纏う真希の姿をじっくりとしたあと、その頰に手を添えて、優しく口付けた。