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◇なななの短編◇
第9章 大雪につき(Blindfold)
「そんな…怒んなくてもいいじゃないですか」
「怒ってねぇよ」
いや、怒ってる。
というか、なんか機嫌が悪そうだ。
逆にこんな雪の中、来たんだから喜んでくれてもいい気がする。
そりゃ…ほぼ毎日顔を合わせてるけど。
でも、最近は忘年会やら新年会終わりになだれ込んでくるお客さんが多かったから忙しくて、中々二人でゆっくりするなんて事なかったんだし…。
寂しいとか、会いたいとか、そういう事を思ってる私は、やっぱりまだまだ子どもなんだろうか。
俯いて、あれこれ考えを巡らせてると、店長は、桜…と私の名前を呼んだ。
顔を上げると、タバコを咥えながら手招きしてる。
照れくさかったけど、素直に店長の方に近付くとギュッと優しく抱き締められた。