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◇なななの短編◇
第9章 大雪につき(Blindfold)
外が寒かったのもあって、この温かさが心地よい。
でもやっぱり照れくさくて、抱き締め返すことは出来ずにいると、店長はさっき付けたばかりのタバコをもみ消した。
「そういう顔すんな」
「……そういう顔…って…」
自分では分からない。
もしかしたら、不満が溢れ出ていたのかもしれない。
「お前さ…」
「……はい」
身体がくっついてるせいで、声が響き渡る。
それも心地よい…とかそんな呑気な事を思う。
「ちゃんとニュース見たのか」
「ニュース…?」
「ああ」
訳が分からないまま、その胸の中にうずくまる。
やっぱ、ここ安心する。
「大雪警報出てんだからさ」
「……そーなの…?」
「そーなの、じゃねぇよ、バーカ」
ギュぅっとより強く抱き締められて、思わず苦しさから、ぐ…と声を漏らすと店長は身体を離して私の顔をジッと見つめた。