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◇なななの短編◇
第2章 冬の思い出(近くて遠い)
「すごい…真っ白だ…」


「本当に、すごいですよね…」



要さんとはよくのこの庭に来たけれど、まるで初めてここに来たように錯覚するほど様子が違っていた。


雪が降るとこんなに違うんだ…


「社長は…?」


「隼人と、雪合戦してて…奥の方に…」


「ふっ…どうせ隼人が社長に投げて、それに社長がムキになってやり返してから始まったんでしょ…」


………全くその通りだ


「さすが、要さん…」


よく光瑠さんの事分かってる。


面白くて私はふふっと笑った。


「寒くないですか…?」


ふと顔を覗き込まれ私は慌てて大丈夫です!と返事をした。




「なんだ、つまらないな…」


「え…?」


今、つまらないって言った…よね…?



「寒いっておっしゃったら抱き締めようと思ったんですが…」


「そっ…そんなっ…」


ボンッと顔が紅くなる私を要さんがじっと見つめる。


「まぁ、寒くなくても、あなたが抱き締めてほしいと一言おっしゃってくれれば抱き締めますが…
どうします…?」


少しだけ片側の口角を上げて吐かれた甘い問い掛けに、困り果てていると、突然要さんがウッと唸って顔を歪ませた。


「───愚問だな、関根。」


いつも以上に低い声。


白い雪景色と同じくらい真っ白い光瑠さんは明らかに不機嫌そうにしてこちらを見ていた。


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