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◇なななの短編◇
第2章 冬の思い出(近くて遠い)
「……やってくれますね」

スーツについた光瑠さんが投げた雪を払った要さんは、軽く笑って光瑠さんを見た。


「早く真希から離れないとまた投げるぞっ!!」


「あなたはどうしてそうやって力で物を言わせようとするんですか…」


要さんの発言で途端に光瑠さんの精神年齢の低さが露呈する。


光瑠さんは黙ってムスッとしたまま私に近付いてきた。


凄い形相でガツガツ雪を踏みながら来るから、

はっきり言ってちょっとかっこいい雪男にしか見えなくて、私は無意識に身体を後退させた。


けど……

それがいけなかった。


「きゃっ!」


「真希さんっ!」


わっわっわっ…!!


「関根っっっっ!!!!!!!!!!」


慣れない雪に足がもつれて後ろに倒れそうになった私を要さんがギュッと抱き締めた。



パニックになっていると、要さんは両手を私の腰に回したまま、ニヤリと笑って私の顔を覗き込んだ。


「──転んで下さってありがとうございます…」


「えっ…あっ!わぁっ」


要さんはそういうと私をより引き付けてグッと強く抱き締めていた。


「なっ!!!!離れろっ!!!!!!!」


要さんの後ろから光瑠さんの怒鳴り声が聞こえて冷や汗が流れる。


いけないと思って要さんから離れようとするけど力が強すぎて無理だった。


「これくらいしても僕はバチが当たらないはずだ…」


耳元でそう囁かれ、頬にキスをされたその瞬間……


恐ろしいほどの力で肩を掴まれ気付いたら今度はまた別の人にグッと息が出来ないほど抱き締められた。


「関根っ…!!!お前いい加減に…ウッ」


威勢よく怒鳴っていた光瑠さんは先ほどの要さんと同じように唸って顔を歪ませた。


「──仕返しです。
本当は100倍くらいにしたいですが、流行りに乗ったと思われるのは嫌なので、やられた分だけやりかえしました。」

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