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◇なななの短編◇
第11章 さっぽろ雪まつり!(B,近甘,ᙠ)
宿の最寄り駅を出ると、もうあまり人がいなかった。
本当に旅が終わってしまう。
それが何だか切ない。
はわぁ…と欠伸をした店長の口から白い煙が立ち上る。
……そういえば…
「店長…今日タバコ吸ってませんね」
「ん? あ〜…」
珍しい。
いつもスパスパ吸っているのに。
「吸いたくないんですか?」
「いや、めちゃめちゃ吸いてぇ」
………なら吸えばいいのに。
「会場にも喫煙所、あったのに」
「……まぁ…」
言葉を濁す店長が気になった。
そして、しばらく沈黙が続くと、私の方を見て頭を撫でた。
「……お前に悪いかなと思って」
「え……?」
「…………折角の旅行だし。待たせるんじゃ時間もったいないだろ」
「………へぇ…」
そういう事、思うんだ。
嬉しい……かも。
そんな事を思いながら、私はまた手を彼の方へ伸ばす。
そして、再び彼の袖を掴んだ。