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◇なななの短編◇
第12章 なぁなぁな2人


部屋から出た智は、まだ止まらないしゃっくりに身体を揺らす。


そして、ソファーに腰掛けてネクタイを緩めている樹をチラと見た。



「……お風呂、先入るよ」



自分の家なのだから別に聞かなくても良いこと。


しかも、しゃっくりのせいで、最後の「よ」が跳ね上がり、樹にそれを笑われたことを少し癪だった。



「しゃっくり…?」


「…う…ん」



また答えながらしゃっくりが重なりそうになったのを智は何とか阻む。



樹はそんな智に再びクスリと笑ったあと、あっ…と小さく声を上げた。




「ともちゃん、ビール、ありがと」


「…あぁ……」




ヒック、と智は身体を揺らす。


そして、少しだけ実験してみたくなった。




「お金…」


「お金……?」



シュルと音を立てて樹のネクタイが外れる。



やっぱり、請求するのは…変か。



「……なん…でもなっ」



再びしゃっくりが出て、胸を抑える智。


ハハと笑った樹はソファーから立ち上がった。



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