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◇なななの短編◇
第12章 なぁなぁな2人
「600円…くらい?」
「おっけー!」
あっさりと払おうとする樹に、智は小さく息を吐く。
そして、500円玉と100円玉を手に乗せられて、ジッとそれを見つめた。
が………
「……俺もともちゃんに買ったから、もらうね?」
「え……?」
一瞬だけ手の平に乗った小銭がすぐに奪われる。
俺もともちゃんに…買った?
首を傾げていると、樹は親指を立てて冷蔵庫に差した。
「冷蔵庫、入れてあるよ」
「………」
「しかもね、ともちゃんが買ってきてくれた本数と全く同じだった」
それって……つまり…
気になった智は冷蔵庫の前まで足を進める、そして開くと、自分が買った倍の量のビールが入っていて、思わずフッと笑った。
「ホントだ……」
「ね?」
「………おんなじこと考えてるし…」
智のセリフを聞いて、樹は軽く目を見開く。
……おんなじことも、言ってるんだけど…
そんな事を心で呟きながら、智の元に寄って肩を叩いた。