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◇なななの短編◇
第12章 なぁなぁな2人
プハっ……という声を聞きながら、智はまぶたを押し上げた。
顔に掛かる心地よい風。
電気が眩しくてよく見えない。
「あっ…ともちゃん!」
ぼんやりと天井を眺めている智に気付いた樹は、近くにあった雑誌でパタパタと智を仰ぎながら、ビールをテーブルに置いた。
「樹くん……」
「……大丈夫…?」
罪悪感満載で、智を見下ろす樹。
その不安げな表情に、少し笑いそうになるのを堪えて、智はわざとムッとした表情を作る。
「……しないって…言ったじゃん」
うっと声を詰まらせた樹は、目を泳がせたあと、後頭部を掻く。
「ごめん……」
「………もぉ…」
「だって…やっぱ風呂で、ってエロくて…さ」
全然いい訳になってない、と思いながら、智は堪え切れずフフと笑う。
少しだけ痛む頭。でも、そんなに不快じゃない。
ゆっくりと起き上がった智は、自分の体を見る。
いつも着ている部屋着。
きっと着せてくれたんだろう…と思いながら、智はほのかに顔を紅らめる。