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◇なななの短編◇
第14章 ホワイトデースペシャル(bloʇbnilᙠ)


「…っ……義理チョコ渡す人にっ……」


「っ………?」


「こんなキスしないっ……」


「─────っ…」



………お前が“義理”だって言ったんだろうが…


訳分かんねぇな…ったく……



「わっ……」



声を上げる桜の両脇を掴んで、ヒョイっと抱え込んだ俺は、桜を自分の膝に乗せた。



「あれが本命だったとはな……」



意地悪くそういうと、桜は少し怒った表情を見せる。



「あ、たりまえじゃないですか!」


「ふっ………じゃあ余計なこと言わないで黙って渡せばいいだろ?」


「それは…っ…」



……恥ずかしくて出来ないってか?

キスは遠慮なく欲しがるくせに、そんなことで照れてる桜に胸がくすぐられて仕方がない。


口ごもったまま顔を紅くした桜は、ギュッと目を瞑ったあと、照れを隠すようにして顔を近付けてきた。


そんな桜の顎をすかさず掴んでそれを阻んだ。



「桜………」


動きを阻まれて、桜は目を見開いている。


「……お前はキスだけでも満足かもしんねぇけど、俺はそうはいかねぇよ。これ以上されたら歯止め効かなくなる」



包み隠さずそう伝えると、桜は目を泳がせた。

その様子を見て、俺は桜の顎から手を離す。


危ねぇ危ねぇ…



これでちょっとは落ち着くかと思いきや、桜は隙を狙って再び俺の唇を塞いできた。




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