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◇なななの短編◇
第14章 ホワイトデースペシャル(bloʇbnilᙠ)
次の日────
「ほら」
差し出した皿の中身を見て、桜はゲっ…という顔をした。
「…………要望と違うんですけど」
「んー?」
とぼけながら、俺は椅子に腰掛けてタバコに火をつけた。
我ながら、今日のオムライスは完璧に出来たと思う。
「オムライス、ケチャップで『スキ』じゃなかったか?」
「そのケチャップの上にご丁寧に乗せられたこの緑のやつは何かって聞いてるんです…!」
「あ〜。手が込んでるだろ?」
煙を吐きながらそう言ったら、キッと桜が睨んできた。
その反応が面白くてつい笑ってしまう。
この表情が見たいがために、ガラにもなく、チマチマした作業をしてしまった。
「お返しなのにひどくないですか!グリーンピースいらないって言ったのに……っ」
グリーンピースごときでこの反応。
俺が笑えば笑うほどムキになる桜が面白い。
「それはお返しじゃねぇよ。俺の好意」
「はあ?」
「お返しなら昨日“体”でしただろ」
「か、体ってっ……」
「………しかも“店”で、“たっぷり”」
一気に顔を紅くした桜は、俺から目線をそらして、スプーンを掴む。
そして黙ったまま、オムライスを眺めて、ケチャップの上に乗ったグリーンピースをスプーンで弾き飛ばしていった。
「器用だな」
「……うるさい」