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◇なななの短編◇
第6章 バレンタイン(近くて遠い)
ゆっくりゆっくり私に迫る光瑠さんは私の背中を支えながら、私をじわりと押し倒していく。


「あの…っ、光瑠さんっ?」


「それか───お前自身でもいい…」


「えっ…」


まさかの愛花ちゃんもビンゴっ!?



「たっ、食べ物って言ってるじゃないですかっ…」


私がそう言うと、光瑠さんはフッと笑って私に唇を近付けた。



「だから、食べ物だろ…?」


「んっ…」


まったり絡まる舌に頭がぼんやりしてくる。


唇がやっと離れたときには、もう光瑠さんの目はギラっとしていた。


シュルシュルとネクタイをゆるめながら、舌舐めずりをして私をじっと見つめてくる。


本当に食べられちゃいそう…


けどドキドキして、身体が動かない。


「光瑠さんっ…あのっ…」


首筋に舌をゆっくり這わせながら、両手は私の胸元のボタンを外している。


基本不器用なのに、

光瑠さんはこういうところだけ器用だ。
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