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◇なななの短編◇
第6章 バレンタイン(近くて遠い)
「ちょっとっ…待ってっ…」


緩く抵抗をしたら、はぁっと息を吐きながら、色気満載で見てくるから、トクンッと心臓が鳴った。


「っ…2秒なら待てる…っ」


2秒っ!?!?


短いよっ



「もう経ったな…諦めて食われろ」


「えっ」


そんなっ…


「抵抗するな…
お前は俺のものだ…」


こんなはずじゃなかったのに…っ


「バっ…バレンタインっ…」


「────バレンタインがなんだ」


あれっ?


すんなり動きを止めてくれたことに拍子抜けしながら、光瑠さんを見た。


「あのっ…光瑠さん甘いもの嫌いだから…代わりに何がいいかって…それを聞きたくてっ…」


眉間にシワを寄せた光瑠さんはしばらく考えたあと、うつ向いて頭を掻いた。


「……いい」


いい?


「何がですか?」


「……だから、チョコレートでいい」


「えっ?でも甘いもの…」


「その日だけは甘いものが食えるっ!!俺はそういう体だっ!!だから黙ってチョコレートを寄越せっっ!」


「……………」

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