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◇なななの短編◇
第6章 バレンタイン(近くて遠い)
バレンタイン当日…


「はい、これ隼人…」


「ありがとー!」


「あ、これは古畑さんです」


「私にまで?とても嬉しいです…」


段々と光瑠の貧乏ゆすりが激しくなる。


我慢我慢…


腕を組ながら、ジッと堪える。


「要さんっ!」


「あ、どうも真希さん」


我慢…我慢…


「これ、真希さんにチョコレートです。バレンタインデーなので。」


「えっ…すごい美味しそう…」


「あなたのことを想いながら…作りましたから…」


っ…が…まんっ…


「っ……。ありがとうございます…あの、こんな素敵なものをもらったあとで、気が引けるんですが、これ、私から要さんに…。」


「えっいただけるんですか…。嬉しいな…。今日は本当に素敵な──」


我慢っ…なんかっ



「できるかぁっ!!!!」


突然叫び出した光瑠に周りのみんなが目を丸くする。

「きゃっ!ちょっとっ…」


光瑠はそんなことお構い無しで真希の手首を掴んだ。


「いい加減にしろっ!!早く寄越せ!!」


「光瑠さんのは今ないですっ…」


「ないぃ!?!?」
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