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◇なななの短編◇
第7章 【近くて遠い書籍化記念】Trick or Sweet
━━━━━━━━……


グルりと首を回すと、関節がなった音がした。


光瑠は、ふぅと息を吐いて、家の長い長い廊下を歩く。


望に早く会いたい……


その気持ちが速度を上げさせる。


すっかり親バカのこの男は、愛娘を抱き締める想像ですっかり顔をゆるませている。


──────おかえりなさい……



そして、後ろから笑顔で真希が現れ、そっと口付ける。



その瞬間のために光瑠は仕事をしているのだ。




疲れを抱えながらも、光瑠はゆっくりと扉を開いた。



が、しかし、部屋の電気が点いておらず、真っ暗な様子に、光瑠は眉を寄せた。



寝てしまったのか?


そんなに遅くはないと思ったが……




そんなことを思いながら、電気のスイッチのところへ行こうとすると、スゥ…──と老人の青白い顔が浮かんだ。




「わっ」



「坊ちゃん……トリックオアトリートでございます……」


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