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王子と専属メイドの戯れ
第7章 下校
「…もう…里音ちゃん、そんなこと言ったら俺惚れちゃうよー?」


神崎さんはおどけたように言いました。


わたしはそんな神崎さんが面白くてクスッと笑いました。



「あっ、…今日ご心配をかけたお礼をしたいです」


「え?お詫びなんていーよ」


「いえっ!わたしの気がすみませんから…何か出来ることがあれば…」



わたしはいろいろと頭を使いました。


なにか神崎さんの喜ぶこと…



手作りお菓子?
いや…お金持ちのお家の方は専属のシェフがいるのでしょうし…
宿題?
いや…間違ってたら申し訳ないし…



「里音ちゃんってば、気使わなくていいのに」


悩んでいるわたしを察して神崎さんがそう言います。



「でも…」


「わかったよ。俺がして欲しいこと出来たら、里音ちゃんにしてもらおうかな」



なんだか逆に気を使わせてしまったような…

でも、神崎さんのそんな優しさがまた嬉しくなりました。



わたしはニッコリ微笑みました。


「はいっ!なんでもおっしゃってくださいね」



「…………うん」



神崎さんは一瞬目を見開いてポカンとしました。

そしてフイッと私に向けていた視線を逸らすと小さくうなづきました。



あれ?
わたし何か変なこと言った?




急に逸らされたのが不思議に思い、そっと顔を伺います。




「ぁーもぅ……かわぃすぎ…」



ボソッと何か神崎さんがつぶやきましたが、上手く聞き取れませんでした。




「なんですか??」



「えっ?あ!なんでもないよっ」




慌てたように神崎さんはまた視線を合わしてくれました。



なんておっしゃったのかな…




気になるけれど、なんでもないと言われては聞けませんでした。




そんな会話をしているうちに、いつの間にか玄関が近づいていました。




その時に、後ろから不意に声をかけられました。
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