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王子と専属メイドの戯れ
第8章 宿題
「…西園寺…なんで里音の教科書に西園寺の字が書いてあるの?」


光騎さまの声は抑揚がなく、何を感じてらっしゃるのか、わかりませんでした。



ただ、いつもの優しい声色がなく、表情もないのでわたしはそれだけで緊張してしまいます。



ギュっと掴まれた手が落ち着きませんでした。




「…西園寺さんが教科書をお忘れになったので、お見せしたんです」





わたしはなるべく平静を装って言います。




ですが、ドキドキと緊張は止まりません。



光騎さまに心配をかけさせるわけには、いかない…。
どうすれば……


考えている間にも、光騎さまは質問をされます。


「何かされたの?」


「え?何かって…」


どうして、何かされたと感じるんでしょう?


わたしは思わず目を瞬いてしまいます。



そしてdefyを一瞥しました。


きっとこの意味が、それを連想させるものなんでしょう。




胸のキスマークを見られた上にセクハラ行為をされたなんて言えません…っ





言い淀むわたしに、光騎さまはわたしの手を離しました。

わたしの電子辞書を手に取ると、わたしにそれを無言で差し出します。




意味を調べろ…と言うことでしょう。




わたしはそれを受け取り、単語を打ち込みました。




すぐに意味が出てきます。



それを読み、わたしは思わず背筋にゾクッとしたものが走りました。




つまり…don't defyとは…




『抵抗するな』
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