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余熱
第10章 深まる

"いけない子"


その五文字に、

後ろめたい快感と、何故か既視感のようなものとがない交ぜになって、

わたしの全身を駆け巡った。


そして、体のどこか奥深く、黒ずんで淀んだ古い血が、ざわめく。


「…挿れるよ」


現実味のある響きを帯びた先生の囁き。


全身を包み込んでいた生ぬるい海水が、一瞬にして冷える。


体も心も一気に強張る。


そんな強張ったわたしよりもずっと強張ったものが、

わたしの中に入り込んでくる。


「んあぁ…っ」


初めて先生の侵入を許した時に伴った痛みは、あまりなかった。


それ以上に、膣内を押し広げる圧迫感が、以前よりも大きかった。


以前よりも、膣内を満たす先生のそれ。


膣の、より奥にまで届く先生のそれ――。



「…っく…っ」



ふと、わたしの耳元にある先生の口から漏れた呻き声。

わたしの鼓膜はそれを逃さなかった。


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