この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
余熱
第11章 横切る

手を伸ばしてスマホを取り、着信画面を見ると、
――祐からだった。
あたたかいココアを飲んでいる時のような安心感で、心が満たされる。
それと同時に、心の隅に落胆の色が微かに滲んだのを見逃せず、罪悪感が募る。
ためらっていると、着信音は鳴り止んでしまった。
…あれ、いつもならわたしが電話に出られなかった時は、必ずメッセージを残してくれるのに。
昨日のことを気にしているのかもしれない。
"祐、この続きして。"
"歯止め、きかなくなってもいいから。"
"わたしのこと、好きじゃないの?だから出来ないんでしょ?
わたしたちやっぱり、幼なじみのままの方が…。"
――よく言えたな、こんな挑発的なこと…。
そして、思い出す――。
"葉月のこと、好きだから…
大切だからこそ、できないんだよ…"
意味が分からなかった。今も分からない。
愛情がなかったら、キスの先ができるってこと?
――先生はわたしと、付き合っていないから、愛情がないから、キスの先をしてくれたってこと?

