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余熱
第11章 横切る

それからしばらくして、期末テストがあって、夏休みが始まるのはあっという間だった。
わたしはどこか元気がなかったらしい。
祐や沙月、挙げ句の果てには担任や学年主任にまで心配されるほどだった。
ひどい生理痛に襲われてから、どうも体調が優れないという言い訳で通していた。
こんな嘘もいとも簡単につけるようになってしまった。
でも体調というか気分は優れず、ずっと曇りという感じだった。
雨は降っていなかった。
夏休みに入って一週間ほど経った。
アブラゼミが騒がしく鳴く、蒸し暑い午後だった。
わたしと祐はわたしの部屋で、祐の好きなバンドのライブDVDを鑑賞していた。
このバンドのCDは以前祐から借りて、日本のバンドなのに海外のバンドみたいにダイナミックな曲を作るのがかっこよくて、わたしも好きになった。
わたしの好きな曲のライブパフォーマンスを観て、
「かっこいい〜!ライブ行ってみたくなるな〜。」
と喜んでいると、
「葉月、今日は元気そうでよかった。」
祐は、DVDのケースの裏に書かれたセットリストを見ながら、そう言った。
「こんなかっこいいライブ観たら、誰だって元気出るよ。次の曲、何?」
わたしが興奮気味にこう尋ねると、突然映像が止まった。
右隣の祐に目をやると、リモコンを枕元に戻していた。
そして祐は振り返って、わたしの手を取り、わたしを組み伏せ、
「…していい?」
そう尋ねてきた。

