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余熱
第11章 横切る

「…っあ…」

彼の苦しそうな声に、

ぐっと質量を増しながら与えられる甘い刺激に、

自分の内部が厚ぼったく膨らんでいく。

先ほどの潮騒のような蝉の啼音が耳の奥で響き出し、

足元を撫でていた小さな波の向こうに、

少し高い波がやってくるのが見えてくる。

しかし、

熱く蕩けて崩れた奥を、一際強く抉るような貫きがあって、

そこで終わりだった。

祐が息を切らし、しがみつくようにわたしに抱きかかってきた。

波は確かに見えたのに、

最初のキスの、あの荒々しさも垣間見えるような突き上げだったのに、

どうして…。

そう思うと、わたしの中から抜けていく祐と一緒に、

引いていく波と一緒に、

何かもっとかけがえのないものまでも逃げていってしまいそうで、

わたしは祐の思いの外広い背中に手を回した。

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