この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
余熱
第11章 横切る

縋るように抱きついたわたしに、軽く触れるだけのキスを落として、

祐はわたしから離れていった。

何かが満たされた感覚と一緒に、離れていった。

うら寂しさだけが、ぽつんと残された。

祐は服を着ながら、

「今日家族でご飯食べに行くから、そろそろ帰る。葉月も来る?」

と尋ねてきた。

部屋にこもった甘く蕩けた余韻も、たちまち消えていく。

「ううん、いい。

…申し訳ないし…外のご飯は味付けが濃くてあんまり好きじゃないから。」

「そっか。またうちには食べに来いよ。じゃあ、またLINEする。」

そう言って立ち去る祐に、わたしはベッドの中からひらひらと手を振った。

祐の家でご飯を頂くのは好きだった。

しかし一度だけ祐の家族とファミリーレストランへ食事しに行ったことがあるが、

楽しそうに食事をしている他の家族が溢れる光景の中で、

わたしはここに来てはいけなかったのではないかと思うくらいの、

大きな疎外感を突きつけられたことを鮮明に覚えている。

わたしは家族と外食しに来たこともなければ、

家でも家族揃って食事をとることは少なかったからだ。

わたしと祐は幼なじみではあるが、似た者同士というわけではない。

大きな違いの一つが、家族と過ごす時間の圧倒的な差だ。

その差がふとした時に、わたしの中に祐への微妙な距離感を生んでしまうことがある。

祐が部屋から出て行く時に完全に閉めてくれなかったドアを、

焦点のしっかり合わないまま見つめながら、そんなことを思った。

さっきのような他愛もない会話をきっかけに、

先ほどまで苦しいほど募っていた祐への想いが、一時的にすうっと冷めてしまった。

そしてそうなると決まって心に溢れてくるのは、先生への欲情だった。

/132ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ