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余熱
第2章 揺れる

かつかつ、と扉の方へ足音が近づいてくる。


ーー今、先輩の顔見たら、俺…。


あんな妖艶でこの上なく美しい彼女を見て、放っておけるわけがない。

あの慰めを、俺がしたら、彼女はきっともっと…

そう思うと、ふつふつと欲望が湧き上がってくる。

先輩は扉の手前まで来て、小窓の先に映る顔に気付き、驚き、後ずさる。

俺は意を決して扉を開けた。

「…高田くん…どうしたの…?こんな時間に…」

狼狽え、先ほどの紅潮を彷彿とさせるように顔を赤らめる先輩。

俺はそんな彼女にじりじりと、ゆっくりと、近づいていく。

「先輩こそ…何してたんですか?…こんな時間に、こんなところで。」

俺がその答えを知っていて尋ねているのを悟ったようで、さらに真っ赤になりながら、

「…ど、どこから見てた…?」

彼女の背中がピアノにぶつかる。

逃げ場を失い、責め寄られる恐怖と興奮で彼女の体はうち震えている。

そんな上半身をグランドピアノに押し倒す。

微かな悲鳴さえも、俺の欲望を煽る。

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