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余熱
第3章 重なる
――あの子は、情事中、どうなのだろう。
ふと、今日から転勤した塾での出来事を思い出す。
階段を急いで駆け下り、情けなく転げ落ちたところで出会った、少女。
慌てて駆け寄ってきて、しゃがんで、散らばったテキストやプリントを、ぴょこぴょこと跳ねながら拾う。
その度に栗色の長い髪が揺らめいた。
さらに転げ落ちてしまうかと思うくらいの、眩暈に襲われた。
その激しい眩暈と軽い立ちくらみにふらつきながら、彼女の元から逃げた。
――あの少女の幻影と重なる。
胸ほどまで伸びた栗色の髪も、白い肌も、華奢な脚も、色気を秘めた声も、何もかもが酷似している。
「…ねぇ、高田くん、」
低く冷え切った声に、はっと現実に引き戻された。
「…今日はもういい。帰って。」
水美はそう言って俺から離れ、ベッドの下から男性器をかたどった性具を取り出し、
「うわの空の高田くんとしても、気持ち良くないから、いい。今日はこれでどうにかするから。」
それをベッドに置き、卑猥な音を立てながら、腰を落としていく。