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余熱
第1章 崩れる

というようなことを沙月に語ると、
「ふ〜ん、
改めて付き合うまでもないっていうか、
むしろ恋人って関係すらもとっくに超越しちゃってるって感じなのね。」
「うん、そう!そうなの!沙月、分かってる!」
冗長なわたしの説明を端的にまとめてくれたことに感動していると、
沙月は軽く溜め息をついて諭すように言う。
「でもさ、葉月がそう思ってる通りに、村田くんも思ってくれてるとは限らないでしょ?」
「うっ…うん…まぁ…確かに…」
祐もそう思っていると勝手に思い込んでいたため、わたしは思わず狼狽えた。
「村田くんのこと狙ってる子、結構いるよ?
そーんな呑気なこと言ってたら、他の子に取られちゃうよ。
それは嫌なんでしょ?」
祐が他の女の子と…
「い、嫌だ!そんなの考えられない…」
「それはきっと、葉月なりの村田くんに対する恋愛感情なんだよ。
村田くんが他の子のものになっちゃう前に、今あたしに言ったこと伝えな。
村田くんが葉月のことどう思ってるか知るためにもね。
さ、5時間目5時間目!」
そう言って、沙月は教室に戻り始めた。
沙月はこうやって、助言をくれて困ったわたしを導いてくれる時がある。
高校入学早々、良い友達を持ったなぁ。
よし、早速だけど今日の放課後、祐に話してみよう。
予鈴が鳴る。
わたしは沙月の背中を追って小走りで教室へ戻った。

