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余熱
第4章 滲みる
「…かっ、からかわないでください!
…補習は、いつしてくださるんですか、金曜の授業の後でもいいですか」
また息を吹きかけられるのを覚悟していると、
「うーん、金曜の授業後ぐらいの時間でもいいんだったら…
…今からは、どう?」
「えっ?は?…今からって…えぇっ?」
「今から、塾でもいいし、
なんなら、ファミレスでも、…僕の家でも、君の家でも。
…する?今から」
先生は、何を、言っているんだ?
僕の家?君の家?
心が洗濯機のようにじゃぶじゃぶと掻き乱されていく。
何も言い返せず、口をぱくぱくさせているうちに、また息が吹きかけられた。
ちょっと油断していた隙にやられた。
「冗談だよ。
…じゃあ、金曜の授業の後にね。おやすみ」
先生はそう言うと、ぷつんと電話を切ってしまった。
完全に弄ばれたというのに、心臓が、うるさい。
先生の声と息づかいを受け止めていた左耳が熱い。
この夜も、うまく寝付けなかった。