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余熱
第4章 滲みる
「…ふーん…」
先生のその視線が一通り、わたしの体をなぞっていくのが分かる。
それは、まるで本当に指か何かで体をなぞられているみたいだった。
「…まぁ、始めようか。」
先生はわたしの席の横の椅子を、わたしの席のすぐ前に置き、腰掛けた。
ーーち、近っ!
心臓が跳ね上がる。
そして、さらにぐっと身を乗り出す先生。
「えーっと…
じゃあ、左側のページ読んで、右側のページの問題解いてみて。」
ーー近い近い近い!
ふわっと、先生の吐息の匂いと、淡い香水の香りがわたしを包む。
ガムの匂いと煙草の匂いが交じった吐息と、
色で表すなら紺色のような香水。
言われた通り左側のページに目を通し、右側のページの問題に取り掛かる。
先生の視線はそんなわたしの顔を捉え続けている。
でも、気付いていない振りをした。
あの視線は、わたしを熱くする、おかしくする。
今も先生に見つめられ続けている顔が火照って仕方がない。
思わず空いている左手を頬に添えると、
「…熱い?…俺に見られて。」