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余熱
第5章 痺れる

すう、すう、と心地よさそうな寝息が聞こえてきた。
どうやら、気を失ったのではなく、眠りに落ちてしまったようだった。
真っ暗な教室の中、ほんのりと月明かりが照らす彼女の顔を見つめる。
彼女の顔立ちは、高校一年生にしてはかなり大人びている。
しかしその寝顔はかなりあどけない。
もっと彼女に触れたいが、寝てしまっているのを襲うのは気が引ける。
かといって、このまま目を覚ますまで、この教室で待つわけにもいかない。
ーー彼女をうちに連れて帰ってしまうか。
そう思いついたのが先か、彼女を抱き上げたのが先か、
俺は一旦、彼女を自分の車まで抱えて連れていった。
そして、彼女をそっと助手席に下ろすと、彼女の荷物と自分の荷物を取りに、急いで校舎の建物に戻った。
暗証番号を押すのが面倒で、さっき使った、駐車場へ出られる裏口へと続く階段は使わなかった。
正面から入り、普段使う階段を駆け上がって、先ほどの教室へ向かう。
すると、思いがけないことに、教室のある階から次の階へと上がる階段に、国語の下川先生が座っていた。

