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余熱
第5章 痺れる

鼻の先同士が今にも触れてしまいそうなほど近くに、彼女の顔があった。

温厚で親しみやすく、生徒からも慕われている彼女。

そんな彼女は、先ほどまでのうぶな反応とはうってかわって、挑発的で色香をたっぷり含んだ目で見つめてきた。



「…高田先生こそ…さっき、あの教室で何してたの?」



心臓が、破裂してしまったかのように、大きな音を立てて鳴った。



ーーまさか…見られていた…?



体を強張らせる俺を見て、艶然に微笑む彼女。

その妖艶さには恐怖さえ覚えた。


「…私がしてたことなんて…先生らがしてたことに比べたら、大したことないわよ……でも、」


またネクタイを引っ張られた。


唇が重なる。


彼女は舌を俺の口の中で一通り巡らせると、ゆっくり離れ、さらにネクタイを自分の元へ引き寄せた。


ふっ、と笑う彼女の吐息を左耳に感じた。



「…先生と森さんと…私だけの秘密にしといてほしかったら…

…ちゃんと処理してからじゃなきゃ、帰してあげないから」



そう囁きながら俺の手を取り、自身のスカートの中へと導いた。


そして、一際妖艶に、





「…して?…森さんにしてたみたいに。」





と囁いた。

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