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余熱
第6章 嵌まる
車から降り、エレベーターに乗り、廊下を歩く。
特に手や肩を引き寄せなくても、森 葉月は黙ってついてきた。
ポケットから鍵を取り出し、ドアを開ける。
「どうぞ、入って。」
促しながら後ろを振り返ると、彼女は二、三歩離れたところで立ち止まっていた。
「…先生…っ!やっぱりわたし…」
「葉月」
振り切ろうとする彼女を遮って、不意に名前を呼んでみた。
暗がりでも分かった。
みるみる紅く染まっていく彼女の頬。
ゆらりと揺らめく大きな瞳。
はあっと吐き出された甘くて、熱くて、震える吐息。
欲望と興奮の最高到達点が、どんどん更新されていく。
もう我慢の限界ーー。
「おいで…葉月。」
ゆっくりこちらに歩んできて、焦らされるのを覚悟していた。
しかし、なんと、彼女はその短い距離を小走りで駆けてきたのだった。
そして、俺のスーツの胸元を掴みながら
「…先生っ…もう…苦しい…っ」
今にも泣き出しそうな声で、そう告げてきたのだった。
理性が弾け飛ぶ瞬間というものを、初めて認識した気がした。
俺の胸元にある彼女の手を強引に引き、玄関へと連れ込む。
ドアが完全に閉まるのも待てず、彼女をドアに押し付け、乱暴に唇を奪った。