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余熱
第6章 嵌まる

逃げ惑う舌、


零れる吐息、


スーツをぎゅっと握りしめながら、震える身体。


彼女の反応ひとつひとつが、俺の欲望を煽っていった。


今にも砕けてしまいそうになっている腰を、ぐっと引き寄せる。


そのまま寝室へ連れ込み、ベッドへとなだれ込んだ。


重なる唇と唇の隙間から、どちらのものとも分からぬ唾液が滴り落ちる。


甘くて熱い彼女の口内を味わいながら、スカートを捲り、ショーツをずらし、指を這わせた。


中指で下から上へとなぞり上げる。


そっと閉じられていた彼女の瞼がぎゅっと強く閉じられる。


くごもってはいるが、甘くてしっかりと情欲に濡れた嬌声が、唇と唇の間から漏れ出た。


唇を解放してやり、花芽への愛撫を加速させる。


彼女の美しい顔が快楽に歪む。艶やかな声が部屋に響く。


ーー違う。


俺が聞きたいのは、こんな声じゃない。


花芽を弄る指を親指に替え、蜜の滴る壺へと中指を沈ませる。


そして、紅く膨れ上がっている芽と、水音をあげて指を呑み込む壺を同時に愛撫する。


すると彼女は全身を揺らめかせ、先ほどよりもやや強く、より色香を含んだ嬌声で応えた。


ーーそれでも、違う。


やはり、あの声ーー“祐”に向かって発せられた、


あの、この上なく甘美で、儚い声ーー。


俺はあの声が聞きたくて聞きたくて、たまらないのだった。



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